. 行政書士組織論: 構造と力4

2019/06/29

構造と力4

お世話になっております、塩谷です。まずAmazonで絶賛発売中、「建設業なんちゃらの青い本」で有名な拙著を何もいわずカートに突っ込んでください、後生ですから。



ブログの更新頻度をほんのりあげているのですが、意図的なものです。話したいことが増えたという訳ではなく、さあ次に何しよう、と思っていたタイミングで面白そうなお声がけをいくつかいただき、じゃあやってみようかなと。このブログもその全体の一部です。
僕を含め、若いうちから自分で小商いなんかを始め、まあまあいい感じに推移していると、自分の意見とか見立てに固執しがちになると思うんですが、もうすぐ40になるし、僕は人の話に乗っかるという経験をあまりしていないので、やったことがないことをしてみたい、という単純な動機でございます。自分の見聞の範囲だけで考えるなんてつまらない。

また、もはや行政書士に限らず若手中堅士業全体及びベンチャー社長連中にまでその知名度の範囲を広げ、彼にネット上で言及されると士業界での名が暴騰するといわれ、そのくせ平日のワークタイムに携帯に電話してもワンコールで出るという笑、実に恐ろしい男に仕上がっているマイメン石下ちゃんにもお誘いいただき、以下のようなこともしてみます。



全く悪い意味ではなく僕は完全に面白がっているんですが、石下さんにご紹介いただく僕のアウトライン評価が過分すぎて、またバナーのデザインもすんごいよね、俺らプロレスでもすんのかしら笑、不惑の士業(超文系)2人が渋谷で純金のベルトを掛けて笑。

でも自分のやり方だけでやってても結局自分にしかならんし、人様のやり方に乗っかってみると価値観が変わるので、とてもいい経験をさせていただいています。ああこの人はこういうやり方するんだ、他の先人はどうやっていたんだろう、俺が自分でやるならどうだろう、などと考えながら。

合わせて、4年くらい停止していたSNS(FacebookTwitter)を再開しました。面白いなと思ったのが、僕が一旦全アカウントを削除した当時は、SNSが完全にプロモーションのプラットホームになっていたのだが、今はまたパーソナルな思考や生活を漏らす場に戻りつつあるの(僕が見ている部分がそうなっているだけかもしれないが)。どうしてそうなったのかは、全然分からない。もしかしたら、そもそもそういうものだから戻ってきたという至極真っ当な経緯なのかも知れない、だが全然分からない。

ここ数日で、複数の同業者(行政書士さんですね)が別々のところで同じようなことを呟いているのを見て、今日はそのことについて私見をまとめてみようかと。結論を先に書くと、出来上がっている仕組みには逆らわない方が無難、自分が変わることで回避できるなら変わってしまう方が早いのでは、という感じです。

僕が見たのは、春先(4月〜6月くらい)は事業上の出費が重なるから台所が厳しい、不安だ、毎年うんざりだ、的なものです。まあ事実ですし、仰る通りです(僕も毎年そう思っています)。日本の諸規定上、事業上の制度的なキャッシュアウトがここに重なるようになっているので、そのことはもうどうしようもないことだと思います。それで、そのどうしようもないことをどうやって少しでも改善すべきかと考えるべきだと思うのですね。改善すべきは社会の構造ではなく自分です(社会構造を改善したっていいけど、すっげえ大変じゃん。自分を変える方が早い)。

行政書士の特性と事業構造にフォーカスして考えると、基本的に手続きに基礎を置くBtoBのサービス業に帰結していくことになります。もちろんこのことは「基本的に」という注釈付きの帰結なので、無数の例外や特殊事情などはあるにはあるのですが、例外や特殊事情は変化しやすいからこそ例外、特殊事情なのであって、検討の基礎にできないです。だから検討の基礎にすべきは「基本的に」の部分です。

日本の行政上のカレンダーは3月締めで、これに倣って国内企業の決算も3月末が一番多いので、企業から仕事をもらう行政書士は企業側の都合により決算までに締めたいというオーダーが来ることになります。BtoBのサービス業なので、年末年始から年度末にかけて忙しくなるに決まっているのです(基本的に)。

いくら企業クライアントが少ない営業スタイルを取っていても、社会構造として企業が3月に向けて業務を締めていく以上、企業が生むお金で日本人の大半が生活している限り、絶対に行政書士は年度末に向けて忙しくなります。行政書士は企業法務が主戦場でこれから逃れられないし、民事をやる行政書士だって同じ行政書士なのだから、大枠ではこの特性に含まれます。

忙しいということは会計上のこととして3月は売上が立っていることになり、この売上に課税されたものを5月末に納税することになるので、他の制度的なキャッシュアウト(年度更新とか固定資産税とか)と合わせてドバッと金が出ていくことになります。これに対する行政書士の正しい対策はお金たくさん貯めておこうではなく、じゃあ決算期変えちゃおうだと思われます。ちなみに消費税は本質的に預かっているだけなので口座分けて貯めておいた方がいいです。

以前長江ちゃんと一緒に会社をやっていたのですが、我々2人は数年経ってやっと気付きましたね、ああ我々は日本経済の中にいるのだ、だから毎年春になると金がねえのだ、ということに。それで決算期を変更した。あらゆるケースに妥当な方法ってないですけど、行政書士の場合決算は秋にするのが最適解になるケースが多いんじゃないですかね(法人じゃないとできないけど)。

僕は「構造」って言葉をよく使いますが、これこそ典型的な構造かなと。社会がそう出来上がっているのだから、行政書士事業は春にキャッシュアウトするに決まってるので、それに逆らうより自分を変えてしまう方が合理的だ。こちらのキャッシュアウトがずれる構造を作る方が手っ取り早い。私は構造を信じる。

今日の本旨は終わりです。付録で先日上記の長江ちゃんとチャットでやり取りしてた内容から、「行政書士の構造」というテーマで一段上の議論がありましたので以下引用してご紹介します。資格法人の制度ができて、ほとんど日本で一番最初くらいから行政書士法人をやっていた先輩の言葉には含蓄があるぜ。彼は今行政書士法人を経営しつつ、畑の違う別な事業を始めていて、近いうちその経緯や近況などをこのブログにアップします。
あと、新事業やってみての感想は、やっぱ行政書士って大変な仕事やなと思いました。
俺も含め同業者全員よく頑張ってきたし、頑張ってると思う。
行政書士で真面目に仕事して、組織維持し、かつ利益しっかり出して儲けるのは、ほんと大変。
おいおい、今正にそのガンガンに頑張ってる最前線のみんなは半分くらいあなたの真似してスタートしてんだけど笑