. 行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(番外編 / 長江編)

2014/03/24

組織の前提となる売上について(番外編 / 長江編)

しばらく塩谷さんがずっと記事を書いてくれてました。久々に書かせていただきます。

塩谷さんが、組織の前提となる売上について番外編 で 1人事務所で1000万円以上の売上げを作ることについての方法論を書いてます。

塩谷さんも、組織の前提となる一定の売上げということで、1人で1000万円以上としていますが、僕もこの数字についてはまったく同感です。方法論についても、おおむね同じなのでここでは書きません。

僕なりの意見を付け加えるとすると、個人的にはゼロからスタートして行政書士業で組織としてやっていくのであれば、前提として、1人事務所で1000万円以上の売上げという世界観をまず体感している(つまり達成した)人たちが中心に集まっていないと、組織としての継続は難しいのではないかなと思っています。

以下がその理由です。

まず、普通の人(行政書士)が、真面目に業務をやるという前提で、1人で1000万円の売上げが続いている状態(一時的に1000万円超えたという状態ではありません)というのが、おそらく我々の業界でよくある許認可など取り扱う事務所を運営する一つの限界の目安です。

1000万円以上の売上げがある状態というのは、ものすごく単純に言うと、単価10万円であれば、10件、常に新案件がある状態です。ただ実際のところは、新案件が依頼された瞬間にお客様から報酬がもらえるわけではないため、新案件の受任と同時に過去の案件も処理して、報酬をもらっているという状態になっているはずです。
実際は、常時 最低20件以上、ずっと一人で回している感じになっているはずです。(すべての単価が10万円ということはあり得ないと思うので、平均単価10万円とすると、案件数は少なくとも20案件はある状態じゃないかなと思われます。)

で、こういう状態になっていると、業務を回していくだけ精いっぱいという状態(請求書を出したりするのも後手後手に回るくらい)であり、もうこれ以上1人では、限界が近いなと思えてくるはずです。

まだまだイケると言う人もいるかもしれませんが、かなり事務処理能力が高く、単価が良い業務をこなしているとしても、普通の人ならMAX2000万円くらいでしょう。

このように、行政書士で一人で1000万円を2・3年 続けてみると、引退するまでずっと同じペースでひたすら業務をこなして、毎年 1000万円程度稼ぎ続けるというだけなのか、ということが実感というか体感として、分かってきます。(実際のところは、体調を崩したり、その他人生色々ありますので、ペースダウンする場合が多かったりするようですが。)

そして、上記のような、行政書士として一人でやっていける限界ということが実感できている人同士で行政書士事務所を運営していくのであれば、自分一人ではどうにもならないことがもう分かっているので、次に進むために、自分以外の人と協力してより大きなものを作っていこうといった気持ちが芽生えるのと、相手のことも尊重できるようになり、少々のことにはへこたれずやっていけるはずです。

これに対して、一人事務所の限界が分かっていない(あくまでも、売上げという観点からですが)人同士ではじめると、一人での限界を体感していないので、ちょっとしたパートナー同士の人間関係の面倒なこと、業務のトラブルなどがあると、自分ひとりの方がもっと良かったとか、自分だけならもっとできると思ってしまい、一人にもどってしまうようです。


まとめますと、誰かの作った組織を継ぐなどの場合でなく、まったくのゼロからスタートして、組織として行政書士業を続けるのであれば、まずは個人事務所の限界までやった人たちを中心として共同事務所なり行政書士法人をスタートした方がいいかなと思います。

特に、行政書士で独立するような人の基本的な属性として、自分の力を試したい、自分のペースでやりたい、あるいは自分ならできると思っている人が多いはずなので(自分も含めてですけど)、そういう人こそ、まずは行政書士の一人事務所での限界が見えてくるところまで、とにかくやりきるべきなんじゃないかなと思います。

塩谷さんも書いてますが、1000万なら、最終的には気合と根性ですね。これでイケるはずです。