. 行政書士組織論: 大型化への予想(3)

2023/09/19

大型化への予想(3)

お疲れ様です、塩谷です。

ちょっとだけSNSにも出勤していたんですが、やっぱ駄目ですわ。大気汚染のような感じ、或いはナウシカの腐海の感じですね、嫉みと憎悪とマウンティングのトルネード。やっぱブログですよ、20年前から行政書士が何か言葉を発するのはブログと相場が決まっているんです。もう書かないの、と同じ日に2人から仰っていただいたのだが、辞めたつもりはないんですけどね。

ノウハウというと安っぽく聞こえて、もはや叡智といっても差し支えないと思いますが、士業事務所をクリスピーに運営していくためのノウハウは、主にトライ&エラーを重ねた先駆者から口伝によって引き継がれていると思います。実際に私がご質問いただいたことで、私にお答えできること、経験して解を持っていることは何でも答えるし、教えますし、私も先輩やバディ(朋友ね)に質問して教えてもらっています。

で、ある一定の境遇で発生する事象には大体すでに解が存在しているので、改めてご自身でそれをトライ&エラーしていただいてももちろん構わないのだが、車輪の再発明になっていないか自省することも必要かと思う。1つずつは小さなことですね、例えば私が最近朋友に質問し解決したことにパートタイマー募集のトレンドについてがありますが、単に当社のニーズと労働市場のニーズが交差している場所を知らなかっただけで、その場所を教えていただくことにより、かなり質の良い、マッチした応募を大量に獲得し、イメージした質と量を獲得することができました。

何の話かというと、結構昔から(具体的には10年くらい前から)行政書士の業界は全体としてこのようなトライ&エラーを繰り返し、共有し、大型化していく過程にあって、その先には経営統合や合併、買収などの未来が待っていると私は予想していたし、当時から同じような思想、未来予想を持っている人は結構いたんですね。有り体にいえばこのブログ自体がその目的のために(当時は)あって、その時が来たときに当社が業界内でプレゼンスを持っていられるよう、つまり顔が売れているようにするために始めたものでした。

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そういう未来を予想していた理由は、近隣他士業がそうなっていっていたからですよね。弁護士の四大なんかは典型的ですし、税理士も世界的な会計グループの中に入って行うのが当時既に潮流になっていたので、共同化と大型化の未来を予想するのは結構普通のことと思います。そのために(行政書士の場合特に)それぞれがトライ&エラーの中でちょっとずつ膨らんでいくのだろうと考えていて、「今はそれぞれがこれをやっていて良いのだ、そういう時期だから。ちょっとずつナレッジ共有していけば」と安心していたところがあったようです、私には。正しいプロセスの中にいて過渡期にあると。

先日某先輩とお食事している際、「全然合併とかMAとか起きんよな、そういう予想から10年経つんやけど」という話になりまして、私は上記の見立て(今そこに向かっている試行錯誤の過程ですから)を再度お話したわけですが、結構これまでと違う角度のご意見をいただき狼狽しました。つまり、いやトライ&エラー期ではなく、既に行書の業界全体としてエラー後の世界を生きてるんじゃないの?とのことです。いや、それを言われますともう返す言葉もないのですが...という笑

行政書士の市場規模は300〜400億円と一説に言われているそうです。このマーケットを5万人の登録者で割ると100万円にも満たない数字になるわけで、確かに明るい話ではないですね。定期的にSNSなどで勃発し宗教戦争の様相を呈する「行政書士は食えるのか」論争ですが、数字を見る限り明らかに食えないですね。100万なんて1人暮らしでも無理、況や世帯維持をや(ちなみに税理士業界の市場規模/登録者数=2,000万円ですね。全く比較にならない)。食えるかどうかは自分次第とか、やり方が悪いとかの意見とも言えないようなコメントは不知です。個別具体的な事例の話じゃなくて、業界全体の数字を分析すると明らかに食えない、食えなきゃどうにもならない。

この少ないパイの中で、タウンワーク掲載のノウハウを融通してウィンウィン言ってる場合ではなく、得意分野を共通化して業界を代表する一大勢力を形成すべき時代は、もう既に来ているのかもしれませんね。ただそれを現実化するにはどうすれば良いのか、私にはよく分かりません。10年くらい前に私はそれに近い思想のもとに同業者と合併しそれなりのインパクトがあったと思うんですが、5年で駄目になりました。なぜ駄目だったのか未だによく分かりませんね。個別に見れば理由や原因のようなものがあったような気もしますが、そういう個別的な事象を業界予想の材料にして良いのか分かりません。

例えば弊社は結構な質量で建設業許可関連のお手伝いをしていると思いますが、じゃあ上場企業の建設会社が合併など検討する際に真っ先に相談が来るかといえば全然そんなことないですしね。大手建設会社から見て、業許可から経審と入札管理まで常に相談先の最上位にある行政書士って国内にいないし、じゃあ弊社がそれを目指します!ってのはないね、他になれる存在もいないと思う。自動車でも入管でもいないでしょ、作るなら糾合するしかない。

長い目で見ればそうするしかないし、そうなっていくと思うんですね。報酬自由化や資格法人制度などはそれらの動きを後押しするような制度面の変更だと思います。現実にどう動けばそうなるか、先鞭をつけられるのか想像力が足らなくて全然わかんないんですが、そういう思想が先々のトレンドになると思われるので、思考メモということで。