. 行政書士組織論: 行政書士の事務所戦略(4)

2015/11/03

行政書士の事務所戦略(4)


ども、塩谷です。

先日大阪の日本建推事務所から小中さんが仙台まで遊びにいらしてくださいました(上の写真の人じゃないですよ、こちらは贔屓の看板屋さんです)。

› 建設業許可に関する申請や書類作成なら日本建推事務所。大阪で40年の経験と実績。

いやーすごいですね、創業40年の3代目。私なんてまだ業界入って10年にも満たない超々若輩者なので、40年なんて全く想像できません(40年後行政書士している自信が全くありません)。

僕は30代中盤のキャリア8〜9年くらい(自分でよく把握できてない)、若手から中堅どころに入ってきている行政書士だと思いますが、さすがに老舗さんのお話には含蓄があって、感銘を受ける部分がたくさんありました。若手〜中堅だけで話していても出てこない視点が多いんです。こればっかりはもう事務所の経験値の世界なので、我々のようなひよっこには全く手に負えないですね、完敗です。

事業規模や取扱件数だけでない、これまでかけた時間の差ですね。ともかく、歴史について後発組は全然相手になりません。特にこういった老舗さんてあまり世間に顔出さないじゃないですか。なかなかお話を聞ける機会がないんですよね。


基本的に僕も業界実務のお話など大好きなので、非常にマニアックな実務的なテクニックの話など尽きることがなかったのですが、中でもいちばん盛り上がったのが事務所の物件についてでした。

巷間では「士業の事務所は売上を生まない」と言われる機会が多いように思いますが、弊社では事務所物件にもそれなりにお金&手間をかけてますし、少しのお金&手間をかけると事務所運営は安定すると思うよ(≒安定すれば継続的に利益を出していくことができるよ)ということを書きたいと思います。

小中さん曰く、この事務所の創業者さんは開業する際に「醤油臭い自宅になんか依頼者が来るものか」と言ってテナントを借り、事務所を設置して業を開始したそうですが、ええ話やな。

以前にこんな記事を書きました。

行政書士組織論: 行政書士の事務所戦略(3)

安定継続的に組織的な事務所経営をしていくには、自宅オフィスはもうもちろん無理ですし、更に言えばどう物件を作りこむかという議論なんだと思うんですね。先の記事にも書いたとおり、塩谷は外観を含め「10年前からそこにあったような」事務所を意識して物件づくりをしていますが、小中さんもこれには大いに反応してくださいました。

そんな難しいことじゃないと思うのですが、以下の様なことを意識すると「ちゃんとした事務所」ができると思いますよ。

  • 紙を整理整頓するために規格を合わせて棚を整備する
  • 無駄なデッドスペースができないように規格を合わせてデスクを揃える
  • 電話、複合機などみんなが使いやすいレイアウトで配置する。主観より業者の方が理に適ったレイアウトを知っている
  • 普通キッチンにあるだろう家財道具(冷蔵庫、レンジ、ポット、コップ・グラスの類、ふきん等)を一通り揃える
  • 普通自宅にあるだろう掃除用具(掃除機、ほうき、ちりとり、雑巾、洗剤など)を一通り揃える
  • 整理整頓のスケジュールを決めて、決まったとおりに整理、掃除する

こんな感じです。特に大事なのは「規格を合わせて棚、机を揃える」という部分なんですが、事務所物件の内部はこの棚と机のレイアウトで殆ど全て決まってしまうので、バラバラの規格のもの買っちゃうと整った事務所は作れません。

ですが、基本的に日本の事務机などは1200×600で規格が決まってますし、棚の高さも1800が普通なので、よほどユニークなものを買わなければ内部規格は決まってくるはずなんですね。レイアウトにもそれほどバリエーションなんかないんです。

事務的な規格で統一していくと必然的に事務的なレイアウトになり、そこに人を割り当てて電話、PC、複合機などのインフラを通していくだけなので、そりゃユニークな事務所なんてできるわけないですよね。でも多分それがほぼ無難で機能的で効率的なオフィスの姿だと思いますけど。そこにユニークさなんて不要だと思います、だって事務所なんだし。

こうすると物理的には効率的で質実剛健な事務所が出来上がるので、後はそれをこまめにメンテナンスして維持管理していくことになると思います。特に行政書士業務は紙ベースの商売なので、放っておくと無限に書類が散乱(エントロピーは増大するのです)しますから、ルールを決めて常に整理整頓を意識すると、業務がしやすくて居心地のいい事務所になるんじゃないかなと思いますね。

冷蔵庫や掃除機などは一度買うとそうそう買い換えるものでもないので、一見業務と無関係のようにも見えますが、必要経費なんじゃないですかね。それで通年快適な事務所を維持できるのであれば安いものですよね。

なお写真はこないだ設置した外看板です。事務所物件の作りこみと整理整頓には終わりがないので、このようにずーっと手を入れ続けていくことになると思いますよ。あときっとそもそも塩谷がこういうことしてるの好きなんですわ。