. 行政書士組織論: 独立開業と地獄について

2019/07/24

独立開業と地獄について

お疲れ様です、塩谷です。

先日マイメン小島くんが主宰されている 行政書士対談TV  という、おもろい企画で対談させていただきました。動画がYoutubeに上がっておりますのでリンク貼っておきますね。



こうして客観的に自分が喋っているところを観て感想は2つ、目が垂れたなということと、早口で手許の動きがうるさいなということですね。目が垂れたことについては、セルフイメージが20年来更新されていない証拠かと。早口で手許の動きがうるさいことは、深層心理学でいうとどういう意味があるのか知らないが、ご存知の方がいらっしゃっても教えてくださらないほうが良い。自分の深層心理など知らないほうが幸せに決まっている、知らなければ幸せでいられることはたくさんある。

ちなみに、同日同タイミングで 本山ちゃん の動画も撮影されており、横で聞いていたのだが(動画には横から口を挟む僕の声が入っているが)、ぜひ2こセットでご覧いただくと宜しいかと思う。どちらも行政書士事務所を運営し始めた初期のことを話しているが、僕より本山ちゃんの方が近過去のことを主観的に話しているため、リアルになる。僕の話は10年以上前のことだから、美化も誇張もしていないつもりだがやはり実効性は薄くなると思う。



これまでの小島くんの経験上、ご覧いただくのは主に業歴の浅い新人さんたち、またはこれから開業準備を始めようか或いは始めたかという段階の助走期間に入っている方たちが多いとのことで、小島くんから提案される議題もその線に沿ったものだったので、近年ではあまり人に話さなくなった開業当初のことをお話ししました。僕の動画のうち、トピックとして我ながらまあまあ良いと思ったのは以下。
  • 月5万円を着実に稼ぐ練習をしないで独立するのは時期尚早だ
  • 月30万円のノウハウではなく5万円のノウハウを実地で掴むべきだ
  • 先行者利益を取れ(他人の真似するな)
  • 先行者の作業でなく思考のフレームをパクれ(他人の真似しろ)
なんか動画に含まれないことをトピックにしてしまったような気がしますが笑、まあこんな感じのことを30分くらいお話しています。小島くんがわざと狙ってしていることだと思いますが、無料で一般公開されている動画なので、基本的には「過去に何をしてきたか」を質問でなぞっていて、行動のベースになっている思考などは含まれていませんね、30分ってそんな話に十分な時間じゃないですし。

僕はこういう、独立開業をどうやって軌道に乗せるかという種類の話があまり得意じゃありません。ある程度前提条件が揃った雑多な項目を整理整頓してあるべき方向性を示し、計画を立てて実行していく作業の方が得意なんだね。

本山ちゃんの話は、実に内容の濃い開業話で興味深く拝聴しました。特に、独立前バイトしながら知り合いの紹介でどっかの何ちゃら事務所でちょっとだけ働いて、行けそうだから自宅開業で...的な話は、誰もが持っている開業譚でしょう、聞いてて泣けてきましたね。この独立時の苦労を骨身に染みて知っているから、創業経験というのはとても貴重なのだと思います。

んでですね、それに続く話で本山ちゃんが悪いというつもりは毛頭なく、言っていることは完全に正しいし僕個人も基本的な考え方は同じ(たぶん小島くんも同じ)なんですが、業界歴10何年の中堅おっさん行政書士である僕は、「やればいいじゃん、なんで飛び込み営業しねえんだよ。直電テレアポしても結果でるんだから」と言われ潰れてしまった若者を何人も見てきてるんですね、潰れるってのは事業としてだけでなく人間的社会的に、という意味を含みます。だから、やれる人はやればいいんじゃね、やれないなら他の方法でいいと思うよというスタンスです。

他の方法のノウハウは業界ではほとんど共有されていないね。僕自身も10年事務所をなんとかかんとか続けてこられたのは、ほとんどラッキーで九分九厘が運みたいなものなので。

ともかくこの辺の話は泥臭いですね、格好いい話でもない。ただ、インディペンデントな士業事務所を自前で立ち上げるためには絶対に避けて通れない話だし、今は涼しい顔して偉そうにしてる大先生も、言わないだけで過去にこの季節(僕はこの季節のことを単に「地獄」と呼んでいるが笑)を絶対に通ってきています。

開業譚はこれまでも色んな人から散々聞いたが、個別的すぎてここから一般論を導くのはほぼ不可能だと思われ、数少ない共通項として言えることは「社会性がある」と「実務的にヤバい」かなと。マーケッティングとかウェブのノウハウとか、名刺の作り方、DM、異種交流会、名簿屋さんの活用、飛び込み営業など様々ノウハウのような話があるが、僕はこれらは枝葉だと思っていて、士業の我々にとって唯一にして絶対の必殺技は結局実務能力なので、何をやっても実務能力の担保がないと地獄をくぐり抜けることはできないよ、ということかと。

保険屋さんとウィンウィン笑になっても事務所は成長しない。地獄の季節を生き延びるには、まずヤバい実務家になるしかない。逆に言えばウェブサイトなんか持っていなくてもヤバい実務能力さえあれば周りが放っておかないから。

その他、動画にはないが収録後に行ったおでん屋さんで、面白い話を色々教えていただきました。やっぱFacebookやメルマガに書いてある話じゃなくて、会って聞く話が一番おもろいよね、以下のが僕としては一番良い話だった。

計画的偶発性理論

自分の常識の中だけで動いても結局自分の世界観で完結してしまうので、つまらないんですよ。僕自身が完全にこの罠に嵌っていて、今はあえて、これまで頼まれてもらなかったようなことをやるようにしています。先日の石下ちゃん主催のセミナーもしかり、出版事業もしかり。何が起こるか分からないのだが分からないから良い。