某同業者さんのブログで知りましたが、この国には行政書士として登録している個人が44,633人いて、そのうち行政書士法人というのは355社だそうです。
› 355/44633 | 環境系行政書士への道~「あきらめたらそこで試合終了ですよ」 東京銀座全体の1%未満ですね。おそらくは税理士、弁護士等によるサブ法人的な位置付けの行政書士法人も多数含まれているので、純粋な行政書士法人(税理士等による行法人が不純という意味でなく、行事業を主体とするという趣旨での純粋さ)という意味で言えば、もっとはるかに少ないと思われます。
僕は紆余曲折あって今は行政書士事業をメインで行う行政書士法人の役員をしているので、全国の同業者さんの間でも比較的レアなポジションにいるのでしょうから、個人事務所を法人化することで何が起こるか、どこかの誰かに参考になるかも知れないので、書いておこうと思います。
ここに至る過程
一応僕がここに至る過程を列記すると以下の様な感じです。
- 28歳自宅で個人事務所開業、業界経験なし
- 開業2年目に事務所借りて移転、このタイミングでアルバイト入れる
- 開業から5期終えたところで既存法人に合併
- 現在合併後2期目
悲しくなるほどにマジョリティな行政書士ですね、我ながらオリジナリティのなさに情けなくなります。
本当は売上規模とか収入も金額として出してしまったほうがリアルなんでしょうけど、生々しいので辞めておきます。
本当は売上規模とか収入も金額として出してしまったほうがリアルなんでしょうけど、生々しいので辞めておきます。
また、なぜ自分で法人を作らず既存法人にジョインしたか、と聞かれることがありますが、そのほうが合理的だからです。
法人化して変わること
主に以下の3つです。
- 支店が作れる
- 法人会計になる
- 取引口座が作れる(ことがある)
これだけですね、以上。それ以外は一切何も起きません。それ以外の変化は、事業体、事業規模として変化することであって、法人化に伴う変化ではありません。1つずつ仔細に見てみたいと思います。
支店が作れる
僕が法人に所属するつもりになった一番の要因がこれです。また、おそらく士業事務所を法人にする上で最大限メリットを活かせるのも、これです。
制度上行政書士事務所に支店を作るには法人化する以外に方法がなく、当時仙台で事務所を持っていた自分が、東京の案件をコンスタントに受けるには、これしか方法がありませんでした(僕が東京案件の実務をやるという意味ではありません)。
東京に限らずですが、複数の事務所を持つには法人にする以外にチョイスがないです。
法人会計になる
行政書士法人は性質上合名会社みたいなものですが、法人なので当然法人会計になります。要はすげえ面倒です。
面倒なのは仕方ないとして、法人になると72,000円くらいの均等割が発生します。支店が増えると営業所数×72,000円くらいがかかるので、その分維持コストが上がります。まあ、法人化云々の話が出る売上規模であれば72,000円は必要コストと割り切れるものと思いますが。
取引口座が作れる(ことがある)
はっきり目に見える変化ではないかも知れませんが、「うちは法人じゃないと取引できないんだよね」という依頼者がたまーにいます。これは主に依頼者(依頼会社)の内規によるもので、金融機関など信用情報を気にする依頼者の場合に発生する(かも知れない)変化です。
また、はっきりと規定上「法人でないと取引できない」としている場合でなくても、「法人だから大きいと思って」という理由でご相談いただくことは結構良くあります。僕が所属している法人は別段それほど大きい訳じゃないんですが、法人であるということをもって一定の与信をしてくださることは、あるようです。
その他
以下の様なことは、法人にすることとは直接関係ありません。
- 気合が入る
- 仲間が増える
- 自己実現する
- 有名になれるとか格好いいとか
士業法人なんていうのはただの制度なのであって、ロマンもクソもないので、気合でやられたって(依頼者が)困りますし、そうするのが合理的でないのであれば、やる意味はないですよね。
仲間が増えるのも、自己実現するのも、結果的にそうなることもあるかも知れませんが、法人化することで得られるものではないし、僕は自分の仕事にそういうものをあまり求めていません。いわんや虚名をや。
実ははっきり言ってしまいますが、個人事業のほうが色々面倒でないから個人のままでいる行政書士さんて、間違いなくたくさんいるんですよ。自分が行政書士事業にどういう角度で臨んでいるかによっては、個人事務所でいるほうがはるかに合理的である可能性も多分にあるのです。まあ、自由にできる金は儲かってる個人事務所のほうがはるかに多いっすよね。
僕が今見越している(予想している)この業界の未来には、少なくとも法人が必要だろうということで、法人に所属しています。
他の法人さんにもご意見とかご感想など、頂戴しつつ議論しつつなどしたいものです。