. 行政書士組織論: 500申請/1ヶ月を捌き切った顛末 / アウトソースとしての行

2015/04/04

500申請/1ヶ月を捌き切った顛末 / アウトソースとしての行

どうもです、塩谷です。
以前こんな記事を書きました。

行政書士組織論: 500申請/1ヵ月を捌く業務デザイン

これを実際に捌き切ったわけですが、いや実際何度事務所がぶっ壊れるかと、或いは僕自身がぶっ壊れるかと思ったものですが、4月に入り全申請の受理票が郵送されてきたので、やり切ったと言えると思います。

山場には平日毎日30~40申請を出すような日々でしたので、今になって思えば泣けるやら何やら大変でした。クロネコさんを面談室に通してお茶飲んでもらいながら最終便の集荷を待ってもらう(まだ発送作業終わってないから)なんてしました。

どうやったのか


まず全ての工程をバラバラに分解しました。また、細かいルールをいくつも作り、関わる全員が1つの工程を全く同じやり方で処理するようにしました。具体的には以下のように。
  • 仕様書を随時作り、全員が共通情報をシェアする
  • 電話での質問禁止、全て全員が見られるチャット上
  • 依頼者とのキャッチボールも原則100%メールのみ、窓口は渉外担当のみ
  • 作業段階で創意工夫しない。個別のカスタマイズも一切しない
  • 入力と出力(印刷)、発送作業の分離
  • 逐一全ての工程をエクセル進行表に入力
大まかにいうとこんな感じです。こういう規模の案件を人に頼ると、どこかでミスが出てリカバリに四苦八苦するので、僕は人でなくて仕組み、もっと言うと全体進行表のエクセルを信用して進めました。

(こんな本もあるみたいっすよね、読んでないけど)

人はミスするんですよね。良い悪いではなくて、適性の問題なんですが、細かい入力ミスや作業の漏れは必ず発生するので、仕組みの方にそのことを組み込んでおいて、入力ミスや作業漏れをチェックする体制を作りました。

半分成功して半分失敗でした。今後の良い教訓になったこともたくさんありました。

アウトソースとしての行政書士


この案件は、弊社にとって良い案件だったんでしょうか。当然報酬は申請数に見合って高額ですが、スタッフ全員にかなりの負担がかかりましたし、通常業務への目に見えない皺寄せもあったはずです。これらを勘案すると、報酬に見合っていたかどうかは、トントンかも知れません。

ですが、今後もこのような案件が持ち込まれた場合には我々はお受けすると思いますし、もしかしたら行政書士の未来(の一部)はこの先にあるのかも知れません。

巷間では「士業の仕事は10年で全部なくなる」「単なる書類書きビジネスはコンピューターに取って代わられる」「他の誰にも真似できない本物の実務能力を」などいう人がいるようですが、馬鹿じゃねえのかと思います。単に同業者の不安を煽って金儲けしてるだけの下衆ですよ、そういうことを言うのは。

本質的に士業の仕事で代替不可能なものなんて一切ないんです(法曹はあり得ます。医者みたいなものだし)。他の誰にも出来ないって、それ制度設計が失敗してるだけですわ。

話が逸れかけたので止めにしますが、いくらコンピューターが発達しても500申請の入札参加資格申請を外注したいというニーズはあり続けるでしょうし、そのニーズがある限り受注可能な受け皿は必要でしょう。

確かに書類書きビジネス自体に明るい未来はないですが、(例えば)入札参加資格申請が自治体ごとにユニークである以上、個別に1つずつ潰していく作業がどこかで発生するんですから、アウトソーサーとしてそれを受注していけばいいんじゃないですかね。行政書士になるなら誰でもスーパーマンでウィンウィンでコンサルできる人じゃなきゃならないなんて、僕はそんな訳はないと思います。

当然個人ベースの事務所では数百件という案件は受けられないので、こうして組織的に事務所運営をする方法を日々考えているのですが、こういうアウトソージング系の話は税理士や司法書士の世界では当たり前に語られていることでもあるので、行政書士は彼らから色々なことを学べるのではないか、などと思っています。